外国人観光客急増・バス現場は 2014年06月09日

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※- 外国人観光客急増・バス現場は 2014年06月09日

6月09日、NHK web特集 - 宮原修平・記者

東京都内では、東南アジアを中心に、外国人観光客の姿が目立つようになりました。

ビザの免除や格安ツアーの増加で、かつての富裕層だけでなく中間層も日本を訪れやすくなったことが背景にあるとみられています。

この外国人観光客に不可欠な移動手段となっているのが、多くの名所を一度に回ることができる観光バスです。

一方で外国人向けの観光バスを巡っては、運転手の居眠りによる事故も起きています。

人気の外国人向け観光バスの現場を、社会部の宮原修平記者が解説します。

東京の銀座や浅草などの名所には、今、大型の観光バスがひっきりなしにやってきます。

降りてくるのは外国人観光客です。

日本の名所を効率的に回るバスツアーが、外国人観光客の人気を集めているのです。

特に東南アジアからの旅行者が目立ち、このうちインドネシアからの旅行者は、「1週間かけてバスでさまざまな観光地を回るツアーに参加しています。日本のバスはきれいで満足しています」と話していました。

また、カンボジアからの旅行者は、「バスで移動すれば、楽に各地を観光することができて便利です」と話していました。

日本政府は、海外から年間2000万人を呼び込み「観光立国」を目指していて、バスツアーは目標達成を下支えする大事な移動手段となっています。

≪ 一方で事故も ≫

一方で、ことし4月、愛知県一宮市の名神高速道路で、観光バスが中央分離帯を突き破って逆走する事故が起きました。

このバスは、外国人観光客向けのバスとして運行されていました。

幸い乗客を降ろしたあとで外国人にけがはありませんでしたが、事故の原因は、無理を続けた末の居眠り運転だったことが分かりました。

取材を進めると、こうした事故を起こしかねない観光バスが少なくないことが分かってきました。

≪ 密着・外国人観光バス ≫

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外国人観光バスの実態を知ってほしいと、茨城県のバス会社が取材に応じてくれました。

ある1日、57歳の男性運転手の乗務に同行しました。

中国からの観光客を乗せ、午前8時に都内のホテルを出発し、僅か2時間半で皇居と浅草を巡りました。

昼食は山梨県の河口湖。

そして午後は、特に人気の高い富士山に向かいました。

そして宿泊先は愛知県の温泉でした。

この日の運転は13時間、移動距離は400キロを超え、国が定める安全基準の上限に迫りました。

この運転手は翌日、京都を観光して大阪に向かい、さらにその後は別の外国人観光客を乗せて東京まで戻りました。

厳しいスケジュールの運転が8日間続きました。

外国人ツアーは短期間に多くの観光地を回ろうとします。

このバスの運転手は「限られた時間で多くの場所を回るのには無理があります。疲れがたまります」と話していました。

≪ 会社は厳しい価格競争 ≫

なぜ、厳しい条件にもかかわらず、外国人観光客向けのツアーを請け負うのか。

このバス会社の運転手の勤務表を見せてもらいました。

すると大半が外国人観光客向けのバスツアーでした。

国内向けのツアーや修学旅行は休日の並びや季節に左右されるため、年間を通じて平日でも比較的安定して仕事がある外国人観光バスツアーは魅力的だといいます。

一方で利益は上がらないともいいます。

4月の平均的な料金は1日6万円

そこから運転手の人件費や燃料代などの必要経費を差し引くと、もうけは僅か200円で、事務経費を差し引くと赤字になるといいます。

価格が低く抑えられている背景には、各社との厳しい競争があると、この会社の社長は指摘します。

というのも、都市間を結ぶ「高速ツアーバス」で、去年、安全対策が強化され、それに伴って多くの会社が「高速ツアーバス」をやめ、外国人観光客向けのバスツアーに参入したからだというのです。

社長は「ほかに料金を下げるバス会社があるので、なかなか料金を上げられないのが実情です。もうかりはしないが、バスを遊ばせるよりはましなので請け負っている」と話しています。

≪ 法令に違反する運行も ≫

厳しい価格競争や、1か所でも多く回りたいという利用者の声を背景に、法令に違反してしまうケースもあるといいます。

運転手の労働時間は、国が1日最大16時間までと定めていますが、首都圏に事務所がある、あるバス会社では、4月は上限を超える違反が6件あったといいます。

外国人観光バスの場合、宿泊先が「東京」や「中部」などあいまいなままの発注も目立ち、急に離れた場所に宿泊先が変更されると、運転時間が大幅に延びることも珍しくないといいます。

営業責任者は「当初、宿泊先が東京となっていても、急きょ宇都宮のホテルに変更になり、予定の運転時間をオーバーしてしまうことがある」などと話していました。

また、運転手がツアーの最中に法令違反を持ちかけられることもあるといいます。

この営業責任者は「旅行会社側が運転手に金を払い、会社に黙って時間の延長や行程の追加に応じてほしいと持ちかけることもある」と話していました。

≪ 都内では異様な光景も ≫

さらに異様な光景もみられます。

深夜の東京都内の路上に何台もの大型観光バスが並んでいるのです。

バスを1台1台訪ねて運転手に事情を聴くと、多くが、外国人観光客をホテルに送り届けたあと、翌日の運転に備え、路上で駐車して仮眠しているというのです。

ある運転手は「郊外の車庫へ戻ると2〜3時間かかるので、会社にないしょでバスの車内に泊まっている」と話していました。

また別の運転手は「夏は路上に簡易ベッドを置いて寝ることもある」と明かしました。

≪ 国は対策を強化 ≫

こうした実情について、国土交通省バス産業活性化対策室の小熊弘明室長は、

「乗務時間の基準に違反して、結果として運転手の過労につながるケースがあるので、国としてもしっかり指導するとともに、監査を通じてチェックを強化したい」と話しています。

「観光立国」のかけ声の一方で綱渡りの運行が続くなか、安全対策の早急な見直しが必要だと感じました

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